2020年を振り返って2020年12月31日 12:56

HROで流星電波観測を始めたのは2007年、しばらく細々とやっていましたが、エコーが十分に捉えられず、ならばVORはどうかと2017年頃から各地のVOR局を観測し始めました。それでもエコー数は1時間で0個といったことが多く、2018年の5月からFROに切替えました。その中で比較的よく入っていた85.4MHzのNHK熊本を10月から12月まで、翌2019年1月からは89.1MHzのAFN沖縄を、7月からは85.0MHzのNHK宮古島を、9月からは87.3MHzのFM沖縄を連続して受信してきました。
しかし、エコー数は多少増えたものの、流星エコーかノイズか区別が付きにくいものが多く、なかなか自動カウントにはできませんでした。やはりVORが無難かと考え直し2020年2月からは、最も安定して入っていた青森VORを継続して受信するようになりました。RMOBには前年の9月頃からすでにアップロードしていたのですが、ここからやっと使えるデータを上げられるようになりました。VORが安定してデータを取れるようになると、やはり別の周波数でもデータを取ってみたいと思うようになり、再びHROを始めてみたのですが、ノイズが以前よりもひどく、ほとんど不可能な状況になっていました。
そこでまたFROに戻って色々と探し始めたのですが、その中で88.9MHzのNHK大分がこれまでの中では最も多いエコーが確認できたため、7月になって新たにKano_2としてRMOBにアップするようになりました。そうした中、Esで大分が受信不可能なときに、偶然89.4MHzのFM京都でとんでもない数でエコーが入って来ることを発見したのです。振り返ってみると、これまで近畿地方の局は近すぎると思い、FM京都は十分確認していなかったのです。大分を受信しながら1時間に10分ずつ京都のエコーを記録してみると、きちんと日周変化をしていることが確認できたので、8月からは89.4MHzのFM京都に切替え、今日に至っています。
さらに11月頃からアンテナの増設や新たな受信システムの準備を行い、これまで十分に調べていなかった90~95MHz帯を確認していく中で、92.8MHzのMBC鹿児島が1kWながら京都に負けないくらい良く入っていることを見つけました。ふたご座直前に何とかKano_3としてRMOBにアップロードでき、これでVOR(ノイズの増加により12月から関西VORに変更)と近距離のFRO(京都)に加え遠距離のFRO(鹿児島)と3つの観測システムを運用できるようになり、多角的に流星の電波観測ができるようになりました。
いろいろなことをやってきた今年1年でしたが、流星電波観測のシステム面では大きな進歩があったと思います。3つのシステムを合わせると1日に4000個ほどの流星を検出しています。来年はこのシステムを活かしながらデータを蓄積し、そこから何かしら見い出すことができればと考えています。また、これから流星電波観測をやってみようと思われる方やFROにチャレンジしてみようと思う方に多少でも有用な情報をお伝えできればと思っています。とにかくここまで来られたのも、杉本さんや小川さんを始め流星電波観測懇談会の皆様の教えや刺激があったからです。心よりお礼申し上げ、来年がよい年でありますようお祈り申し上げます。