SメーターFROをやってみた結果2021年05月08日 19:39

FROは1970年代から流星観測の一つの手段として行われてきたようです。
しかし当時は流星が流れたときに聞こえる音を数えたり、FMチューナーから取り出した信号をペンレコーダーで記録するという方法だったので、ある程度の長さ(強さ)のエコーでないと捉えることはできず、カウントできるエコーの数もそれほど多くはなかったと思われます。
その後はFM局の増加とともにFROが困難になり、新たに53.750MHzのアマチュアバンドで流星観測用のビーコンが発射されるようになって、同時にHROFFTという素晴らしいソフトが開発されると主力はHROに移りました。
ところが最近私の所でも環境ノイズが増加し、53MHz帯での観測が困難になり、代替として始めたVORも周波数が高いためにエコーがHROほどには得られないという問題が出ていました。
そこで改めてFROに着目したわけですが、HROFFTは本来CW(連続波)用に作られており、FMのように変調されている電波には向きません。それでも音楽やアナウンスの合間などはほぼ無変調状態になるので、ある程度は観測できるのではないかと考え、ここ数年国内の様々な局を受信してきました。
その結果HROFFTでもFROができることは確認できたものの、エコーがVOR程度しか得られず、放送番組の影響が見られたり、混信によりエコーかノイズか見分けにくいものがあったりとやはり難しさがありました。そんな時に考えたのがSメーターを使ったFROです。これなら変調に関係なくエコーが捉えられるのではないかと思ったわけです。このことを杉本さんにお話ししたら、すでに同じアイデアをお持ちで、対応できるソフトがあることも教えてもらいました。その後杉本さんは自作のソフトを開発され北朝鮮の107.7MHzで運用されています。

前置きが長くなりましたが、遅ればせながらこのSメーターFROをやってみました。ただし、杉本さんのように自動カウントは無理なので、とりあえずマニュアルカウントです。
使用したSDRソフトはSDR Console v3 です。このソフトにはSignal Historyというシグナル強度をグラフ化して表示するウィンドウがあります。このウィンドウの大きさと表示速度を調節すると下のようにグラフが右から左へ流れていき、ちょうど10分間のシグナル強度の変化を表示できます。


周波数は89.4MHzでバンド幅は40kHzに設定してあります。これ以上バンド幅を広げるとノイズフロアが上昇します。記録時間がわかるようにTv Clockというフリーソフトで時刻表示を入れてあります。このウィンドウをBandicamというソフトで10分ごとに自動キャプチャします。こうして得たPNG画像をHROFFTと時間軸が同じになるように縮小します。それが下の画像です。


同じ時刻のHROFFT画像が下です。


これを比較明合成するとこうなります。


アンテナの違いは多少ありますが、HROFFT画像とよく一致しており、HROFFTで捉えたエコーとSignal Histolyのピークの数はほぼ同じくらいです。
色々と受信して見た結果、HROFFTと同程度には使える感じですが、やはり国内の1kW級の局ではエコーはわずかしか確認できませんでした。
思ったような結果にならなかったのは、少なくともSDR ConsoleのSメーターは全体のパワーを測定しているのではなく、単にバンド内のピーク電圧を表示しているからではないかと考えています。後から調べたところ高級なスペアナには帯域全体のパワーを測定する機能があるようです。